井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年12月20日 木曜日

「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の結果が取りまとめられました

標題の調査は、厚生労働省が組織する「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が、今年の3月15日に公表した「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」に基づき実施されたものです。

実は、これが日本の国としては初めての、職場のパワハラ実態に関する調査となりました。


実際の調査は、厚生労働省が今年の7月から9月にかけて、全国の正社員30人以上の企業17,000社と、全国の企業・団体に勤務する20〜64歳の男女9,000名を対象として、アンケート形式で実施したものですが、このほど、この結果が報告書に取りまとめられました。


さて、その調査結果。
おおむね以下のような内容となりました。


①相談窓口における従業員からのパワハラの相談状況

○従業員からの相談窓口を設置している企業は73.4%。
○ただし、従業員99人以下の企業では37.1%と、設置率はかなり低い。
○相談のテーマでは、パワハラがメンタルヘルスの不調に次いで多くなっている。


②パワハラの発生状況

○過去3年間で実際にパワハラに関する相談を受けたことがある企業は45.2%。
○同じく、実際にパワハラに該当する事案があった企業は32.0%。
○過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した従業員は25.3%。
○パワハラ事案における当事者の関係では、「上司から部下へ」、「先輩から後輩へ」、「正社員から正社員以外へ」等、立場が上の者から下の者への行為が大半を占めるている。


③パワハラが発生している職場の特徴

○パワハラ相談が挙る職場に共通する事情は、「上司と部下のコミュニケーションが少ない(51.1%)」が最多。
○このほかの事情としては、「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている(21.9%)」、「残業が多い/休みが取り難い(19.9%)」、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い(19.8%)」などが続く。


④パワハラの予防・解決への企業の取組状況

○回答企業の80.8%が「パワハラの予防・解決を経営上の課題として重要」と感じている。
○一方で、予防・解決に向けて取組んでいる企業は45.4%にとどまる。
○特に、従業員99人以下の企業では18.2%と、かなり低い。


⑤パワハラの減少に向けて求められる課題など

○企業が挙げる課題では、「パワハラかどうかの判断が難しい(72.2%)」が最多。
○このほかの課題等としては、「権利ばかり主張する者が増える(64.5%)」、「パワハラに該当すると思えないような訴え・相談が増える(56.5%)」などが続く。
○一方で、過去3年間にパワハラを受けた経験者(従業員)のうち、46.7%が「何もしなかった」と回答。
○実際に相談窓口に相談した従業員の比率も1.8%と、かなり低い。


そして、これらの調査結果から見えてきたこと。
これからの企業は、以下の3点に取り組みましょう、と示されています。


①企業全体の制度整備

○実際にパワハラを受けた者が相談窓口を利用する比率が極めて低いので、単に相談窓口を設置するだけではダメ。
○相談窓口が活用され、問題の解決につなげるアクションを促すような仕組みづくりが必要。
○また、パワハラに関する研修制度や、就業規則にパワハラ対策を盛り込むなど、総合的な取組みが重要。


②職場環境の改善

○まず上位者がパワハラをよく理解した上で、部下等とのコミュニケーションを行い、パワハラが生じにくい環境を作り出すことが重要。
○また、労使が協調の上、労働時間や業務上の負荷によりストレスが集中しないよう配慮することが、パワハラ抑止につながる。


③パワハラについての理解促進

○企業ごとの状況を踏まえ、労使話し合いの下、自社のパワハラについて考え方を整理し、予防・解決に向けた意識啓発を進めていくことが必要。
○従業員の関心が高まることで、一時的にはパワハラの相談が増えることも予想されるが、しっかりと相談に対応していけば、将来的な抑止につながっていく。


【もっと詳しい調査結果はこちら】
職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)

職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(詳細版)


では最後に、個人的な印象を少しだけ。

こうして調査結果をながめてみると、日本の職場は、「まだまだ問題が表面化しにくい環境にある」ということが解ります。(ただ、これは調査する前から、ある程度解っていたことでしたが。)


これは、つまり、人の働き方や職場環境の整備の面では、欧米諸国に比べて日本が、まだまだ遅れを取っている、ということを示しています。

技術的にも経済的にも、欧米諸国に比べて互角以上の日本ですから、将来的には、この辺も、ぜひ互角以上と言えるようになってほしいものです。このままだと、ちょっと格好悪いですからね。


そのために、まずは日本の現状を鑑みての上記3点、です。
ひとつひとつの取組みは、それ程難しいものではありません。

だからこそ、それぞれの会社が、それぞれ「何か」を契機として、地道に改善に取り組んでいく(取り組み始める)ことが、パワハラが起こりにくい職場を増やしていく近道になるのでしょうね。


【この話題に関連する記事はこちら】
精神障害の労災認定が過去最高です(7月18日)

職場のパワーハラスメントの予防・解決ポータルサイトが開設されました(10月5日)

メンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」をご存知ですか(10月16日)

東京都が平成24年度上半期の労働相談状況を取りまとめました(11月15日)



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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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