井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年10月15日 月曜日

派遣契約中途解除の際に取るべき措置について(改正労働者派遣法の解説⑧)

今日は、10月1日に施行された改正労働者派遣法における改正3本柱のひとつ「派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善」について、その項目毎に詳しく解説する最終回(解説連載では第8回目)です。

派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善策として、今回新たに盛り込まれた改正項目は、①有期雇用派遣労働者等の無期雇用への転換推進措置の努力義務化、②賃金決定等の際における均衡待遇確保の義務化、③マージン率等の情報公開の義務化、④雇入れの際に派遣料金額の明示の義務化、⑤派遣契約の中途解除の際に派遣元と派遣先が取るべき措置の規定化、の5項目でした。

今日は、このうちのひとつ「派遣契約の中途解除の際に派遣元と派遣先が取るべき措置の規定化(上記⑤)」を取り上げます。


【派遣契約の中途解除に関する課題】
労働者派遣契約の中途解除に伴って派遣労働者の雇用が失われること

※労働者派遣契約というのは、そもそも派遣元と派遣先の間の契約です。労働者派遣契約の中途解除は、個々の派遣労働者には責任がない部分(あくまで使用者側の都合)です。


【新たに導入された規制】
○労働者派遣契約の中途解除に当たり講ずべき措置の明確化
下記①②ともに、これまでも指針(ガイドライン)では示されていた内容でしたが、今回の改正で法律の条文に格上げ(法制化)されました。

①派遣先に対しては・・・
派遣先の都合により、派遣契約を解除する場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用の負担等の措置を講ずるよう、派遣先に義務化されました。

②派遣元と派遣先に対しては・・・
労働者派遣契約には、契約解除時に講ずる派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用の負担等に関する事項を盛り込むことが明示されました。

※「派遣先の都合」といえば・・・数年前に社会問題となった「派遣切り」や「年越し派遣村」が思い出されるところですね。これらの規制は、そのときの教訓を踏まえて法制化されたものです。


【さて、余談ながら】
先にも少し触れましたが、たとえ労働者派遣契約が中途解除されたとしても、労働者と派遣元との関係は、雇用契約も一緒に解除(解雇)しない限り、継続していきます。
このため、契約の中途解除が発生すると、派遣元が当然の営業努力として、どこか「替わりの派遣先」を探す、という展開になりますよね。

しかし、たいがいの場合、労働者派遣契約が中途解除される裏には、景気の低迷や先行き不安といった大きな要素があります。これを見込ん派遣先が経費削減等の対策に走った結果が、中途解除です。
つまり、その時点で、別の派遣先を探しても、世の中全体に同様な状況にある訳ですから、なかなか別の行き先が見つからない(派遣業界全体に手詰まり感)、という話になりますよね。

これは、たいへん頭の痛い問題です。また、この問題は、景気の変動等によって発生する懸念が常にありますので、日本政府としては、何度も同じ轍を踏まないよう、不安定な雇用形態(派遣)は減らして、簡単に切りにくい正規雇用に移行させたいのです。したがって、労働者派遣については、今後も何回かに分けて縮小の方向で法改正が進んでいきます。


では、今日のところはこの辺で。

これまでの解説連載(今日で8回目)では、今回改正の3本柱(①事業規制の強化、②派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善、③違法派遣に対する迅速・的確な対処)のうち、①と②に焦点を当てて詳しくご紹介しました。

残り1本の柱(③違法派遣に対する迅速・的確な対処)についても、今後、詳しくご紹介する機会を持ちたいと思っています。少し別の話題に関する記事(小休止)を挿んで、今週中には再会する予定でいます。
ひきつづき、どうぞお楽しみに。



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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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