井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年10月11日 木曜日

マージン率等の情報公開の義務化について(改正労働者派遣法の解説⑥)

今日は、10月1日に施行された改正労働者派遣法における改正3本柱のひとつ「派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善」について、その項目毎に詳しく解説する第3回目(解説連載では第6回目)です。

派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善策として、今回新たに盛り込まれた改正項目は、①有期雇用派遣労働者等の無期雇用への転換推進措置の努力義務化、②賃金決定等の際における均衡待遇確保の義務化、③マージン率等の情報公開の義務化、④雇入れの際に派遣料金額の明示の義務化、⑤派遣契約の中途解除の際に派遣元と派遣先が取るべき措置の規定化、の5項目でした。

今日は、このうちのひとつ「マージン率等の情報公開の義務化(上記③)」を取り上げます。


【派遣労働者の待遇に関する課題】
○派遣労働者の働きに見合った待遇・処遇がなされていないこと
○派遣元の事業運営が「不透明」であること(派遣労働者・派遣先から見えにくい事業運営体制)

注)この2つは、上記②賃金決定等の際における均衡待遇確保の義務化、③マージン率等の情報公開の義務化、④雇入れの際に派遣料金額の明示の義務化、の3項目において、共通の課題となっていますね。


【新たに導入された規制】
○マージン率等の情報公開の義務化
派遣元に対して、事業所ごとの、労働者派遣に関する料金額と派遣労働者の賃金額の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)「等」に係る情報提供が義務化されました。

要するに、どれくらい「上前をはねているのか」を明らかにしなさい、ということになりました。


これまでも指針(ガイドライン)では示されていた内容でしたが、上記課題にあるとおり、派遣元の事業運営に間する透明性を確保する目的で、今回の改正から法律の条文に格上げ(法制化)されました。

※この規制は、改正労働者派遣法の施行後に終了する事業年度から義務付けられます。例えば、事業年度が来年(平成25年)3月末に終了する事業主の場合ですと、その翌月(同年4月)以降、速やかに公表する必要があります。失念しないよう注意が必要ですね。


【マージン率の計算方法】
毎年度終了後、以下の計算式を使って算出します。
また、その算出結果を「インターネット等」により情報提供することが必要です。

○「マージン率」
=(労働者派遣に関する料金額の平均額)−(派遣労働者の賃金額の平均額)÷労働者派遣に関する料金額の平均額

※マージン率の計算は、(派遣元の)事業所ごとに行うことが「原則」です。ただし、その事業所が労働者派遣事業を行う他の事業所と「一体的な経営」を行っている場合には、その範囲で算定することを妨げない(要は、合算してもいい)、とされています。


【情報提供すべき事項】
事業所ごとに、情報提供すべきマージン率「等」の内容については、以下のとおり決まっています。

①派遣労働者の数
②派遣先の数
③マージン率(労働者派遣に関する料金額と派遣労働者の賃金額の差額の派遣料金に占める割合)
④教育訓練に関する事項
⑤労働者派遣に関する料金額の平均額
⑥派遣労働者の賃金額の平均額
⑦その他参考となると認められる事項

※「教育訓練に関する事項」は、派遣元が実施している教育訓練の内容・実施・期間・費用負担の有無をいいます。

※「その他参考となると認められる事項」は、派遣元の判断に委ねられる部分です。例えば、不福利厚生に関する事項等が考えられますね。


【情報提供の方法】
業界平均で見ると、派遣元のマージン率は、だいたい3割程度のようですが、派遣元は、このマージンに相当する部分から、法定福利費・法定外福利費・教育訓練費・事業経費といった「経費」を支払っています。

つまり、教育訓練や福利厚生に力を入れている派遣元ほど、そうでない派遣元と比べて、マージン率が高めに算出される、ということですね。

このため、派遣元は、情報提供の際には、教育訓練やその他参考となると認められる事項(福利厚生等)について、可能な限り分りやすく情報提供して、自社の取組みが労働者や派遣先に対し、正確に伝わるようにすることが重要です。

※この分りやすく情報提供する、という観点から、教育訓練費や法定福利費・法定外福利費を分けて情報提供する取り扱いは差し支えない、とされています。

一方で、
労働者や派遣先は、これからは情報公開が進む反面、マージン率だけで派遣元を評価するのではなく、その他の情報とも組み合わせて総合的に評価することが重要になってきますね。


では、今日のところはこの辺で。

ひきつづき、明日は「雇入れの際に派遣料金額の明示の義務化」を、取り上げる予定です。
どうぞお楽しみに。



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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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