井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年10月10日 水曜日

賃金決定の際に均衡待遇確保の義務化について(改正労働者派遣法の解説⑤)

今日は、10月1日に施行された改正労働者派遣法における改正3本柱のひとつ「派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善」について、その項目毎に詳しく解説する第2回目(解説連載では第5回目)です。

派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善策として、今回新たに盛り込まれた改正項目は、①有期雇用派遣労働者等の無期雇用への転換推進措置の努力義務化、②賃金決定等の際における均衡待遇確保の義務化、③マージン率等の情報公開の義務化、④雇入れの際に派遣料金額の明示の義務化、⑤派遣契約の中途解除の際に派遣元と派遣先が取るべき措置の規定化、の5項目でした。

今日は、このうちのひとつ「賃金決定等の際における均衡待遇確保の義務化(上記②)」を取り上げます。


【派遣労働者の待遇に関する課題】
○派遣労働者の働きに見合った待遇・処遇がなされていないこと
○派遣元の事業運営が不透明であること(派遣労働者・派遣先から見えにくい事業運営体制)

注)この2つは、上記②賃金決定等の際における均衡待遇確保の義務化、③マージン率等の情報公開の義務化、④雇入れの際に派遣料金額の明示の義務化、の3項目において、共通の課題となっています。


【新たに導入された規制】
○(それぞれの就労環境における)均衡を考慮した待遇の確保

いずれも努力義務に留まりましたが、以下のとおり規制が導入されたので、派遣元・派遣先ともに注意が必要です。

なお、以下に登場する「派遣先の労働者」とは、派遣先の「プロパー社員」を指しています。

①派遣元に対しては・・・
派遣労働者と同種の業務に従事する「派遣先の労働者」等との均衡を考慮した賃金決定や、教育訓練・福利厚生の実施に配慮するよう努めること(派遣元の義務)

②派遣先に対しては・・・
派遣元による均衡待遇の確保に向けた措置が適切に講じられるために、必要な情報を派遣元に提供する等、協力するよう努めること(派遣先の義務)


【派遣元が講ずべき措置】
①以下ア〜ウの要素を勘案して、派遣労働者の賃金を決定するよう努めること

ア)派遣労働者と同種の業務に従事する「派遣先の労働者」の賃金水準
イ)派遣労働者と同種の業務に従事する「一般の労働者」の賃金水準
ウ)派遣労働者の職務内容や成果等

②(賃金だけでなく)教育訓練・福利厚生等についても、派遣労働者と同種の業務に従事する「派遣先の労働者」との均衡を考慮するよう努めること

注)ただし、当然ながら、この均衡を考慮した結果、現状より賃金を引下げる等、労働条件を低下させる対応は不適切とされていますので注意が必要です。(指針にも、その旨の禁止規定あり。)


【派遣先が講ずべき措置】
①派遣元の求めに応じ、派遣労働者と同種の業務に従事する自社の労働者の賃金水準、教育訓練等に関する情報を提供するよう努めること

②派遣元の求めに応じ、派遣労働者の職務の評価等に協力するよう努めること

ただ、この措置に関しては・・・
実際に派遣先の協力が得られるかは、率直なところ微妙(難しそう)ですね。普通に考えれば努力義務程度だと、派遣元としては、商売上のお客さん(派遣先)に対して、内部の事情を事細かに聴きにくいと思えませんか。まあ、だから取りあえずは努力義務とされているのでしょうね。


では、今日のところはこの辺で。

ひきつづき、明日は「マージン率等の情報公開の義務化」を、取り上げる予定です。
どうぞお楽しみに。



****************************
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

中小企業の労務管理のこと、資金調達のことなら何でも。
経営者の良き相談相手、井溝社会保険労務士事務所です。

下記よりどうぞお気軽にお問い合わせください。

****************************


投稿者 井溝社会保険労務士事務所

カレンダー

2015年2月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28