井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年9月 5日 水曜日

建設産業全体で社会保険への加入促進策が強化されています

従来から日本の建設産業では、業界全体の傾向として、健康保険、厚生年金保険および雇用保険の、いわゆる社会保険について、法定福利費を適正に負担しない企業(保険未加入企業)が存在していました。

また、この事情が、技能、労働者の医療、年金など、いざというときの公的保障が確保されず、建設産業への若年入職者が減少する一因となっていた上、関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担している事業者ほど、競争上不利になるという矛盾を生じさせていました。


このため、建設産業行政では、今般、業界における全体的な枠組みを整備し、行政、元請企業および下請企業が一体となって社会保険への加入促進に取り組んでいくことが必要であるとして、建設業の許可・更新時や立入検査時における確認・指導、経営事項審査の厳格化、違反企業の担当部局への通報等が行われることになりました。

今日のプログでは、上記のように建設産業全体に対する社会保険への加入促進策が強化される状況下での、元請企業の役割と責任について考えてみたいと思います。


一般的に、建設産業における元請企業は、請け負った工事全般について、下請企業よりも広い責任や権限を持っています。

また、実態として、この責任や権限に基づき元請企業が発注者との間で行う請負価格、工期の決定などは、下請企業の経営の健全化にも大きな影響をもたらしています。

一方で、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」においては、「元方事業主は関係請負人に対して雇用保険その他建設労働者の福利厚生に関する事項等の適正な管理に関して助言、指導その他の援助を行うように努める」旨規定されています(同法第8条第2項)。


このような観点から、元請企業は、その請け負った建設工事におけるすべての下請企業に対して、適正な契約の締結、適正な施工体制の確立、雇用・労働条件の改善、福祉の充実等について、指導・助言その他の援助を行う立場にあると考えられますから、社会保険への加入についても同様に、元請企業はその立場から、自社が加入することはもちろんのこと、下請企業に対しても、加入促進の指導等を行っていく必要があると考えられますね。


建設産業行政のガイドライン(建設産業における生産システム合理化指針)によると、元請企業の指導の対象となる下請企業は、元請企業と直接の契約関係にある者に限られず、元請企業が請け負った建設工事に従事するすべての下請企業であるとされています。

しかし、これについては、元請企業がそのすべての下請企業に対して、自ら直接指導を行うことが求められるのではなく、直接の契約関係にある下請企業に指示し、又は協力させ、元請企業はこれを統括するという方法をとるのが、現実的だと思われます。

もっとも、直接の契約関係にある下請企業に実施させたところ、その下請企業が指導を怠った場合や、その下請企業の規模等にかんがみて明らかに下請企業に実施させることは困難(指導力不足など)であると認められる場合には、ガイドラインの原則に則って、元請企業が末端の下請企業まで直接目を配ることが必要になってきますね。



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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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