井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年8月28日 火曜日

改正労働契約法について解説します(その1)

先日このブログでもお知らせしましたが、労働契約法が改正され、今月10日に公布、同日から一部改正内容が施行されています。


今回の改正内容は、①有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換、②「雇止め法理」の法定化、③期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止、の3項目でした。

なお、上記②については、公布日付けで施行されており、上記①と③については、公布の日から起算して1年以内の政令で定める日(もう少し先の話です)に施行されます。


厚生労働省から改正内容についての解釈を示した通達が出てはいるのですが、一読しただけではちょっと解りにくい部分があるようですし、いまが旬の法改正ネタでもありますので、改正内容の項目ごとに解説してみたいと思います。


まず、初回の今日は、公布日付けで施行された「有期労働契約の更新等(改正後の第19条、「雇止め法理」の法定化)」を取り上げます。


【法改正の趣旨】
現在、労使間の紛争において有期労働契約の雇止めに関するものが多いことから、判例において確立されている雇止め法理をルール化することにより、紛争を防止する狙い。


【改正内容の概略】
有期労働契約が反復して更新されている状況下において使用者が雇止めをする場合、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められない限り、その雇止めは認められません。
この場合、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で、労働者からの契約更新の申込みを承諾(契約更新が成立)したものとみなされます。


【ちょっと一問一答】
1.判例法理と改正法は表現が異なる部分があるが、何か相違があるのか?

相違はありません。下記2つの最高裁判決で確立されている雇止め法理の内容・適用範囲が主旨を変更することなく規定されました。
①東芝柳町工場事件(最1小判昭49.7.22)・・・有期労働契約が期間の満了毎に当然更新を重ねて「あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在」していた場合には、解雇に関する法理を類推すべきであると判示。
②日立メディコ事件(最1小判昭61.12.4)・・・有期労働契約の期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合には、解雇に関する法理を類推されるものと解されると判示。


2.契約期間満了後、相当期間経過した後に契約更新の申込みをした場合、その申込みは有効か?

一応、有効と解釈されています。契約期間の満了後であっても、正当な理由または合理的な理由による申込みの遅滞は許されるようです。


3.不更新条項や契約期間中に更新しないことを通告することにより、契約期間満了時の合理的期待を減じることができるのか?

できません。労働者が雇用継続への合理的な期待を抱いている場合においては、使用者が更新年数や更新回数の上限などを一方的に宣言しても効果はありません。


4.通算契約期間5年以内でも、契約更新に対する合理的期待は認められるのか?

認められます。合理的期待が発生する時期は、特段(5年到達時などと)決められていません。有期労働契約が反復更新されている状況下であれば、労働者の契約更新に対する合理的期待は認められると解されています。


それでは、今日はこの辺で。
次回は、「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(改正後の第20条)」を、次々回は、「有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(改正後の第18条)を取り上げます。どうぞおたのしみに。



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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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