井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年8月 2日 木曜日

事業所が社会保険の手続きを怠った場合の損害賠償責任について(その3)

事業所が社会保険の手続きを怠った場合の損害賠償責任について、事例研究の続きです。

今日は、事業所が控除した保険料を「全部納付しなかった」パターンの事例(事例2)を見ていきましょう。


【事例2の概要】
原告X(46歳)は、昭和46年8月6日から同年10月13日まで、被告Yに雇用されていたが、Yは、Xに係る2箇月分の厚生年金保険料を【納付しなかった】ことから、XはYに対し、【将来の老齢年金額について不利益】を生ずることとなるとして、不法行為に基づく損害賠償請求を行った。・・・という事例。(東京地判昭60.9.26)


【事例2の争点】
・損害の発生の有無
原告は現在46歳であって、原告の厚生年金加入期間は現在まで通算して8年10ヶ月に過ぎない・・・原告が老齢年金受給資格を現在【有していないことは明らか】であり、将来これを取得するか否かは【成否未定】の事柄である。原告が老齢基礎年金受給資格を【取得してはじめて】問題となりうる不利益であって、現時点においては、【その発生は未確定】である。よって、原告の被告に対する損害賠償請求は、・・・【理由がない】。


【私的なコメント】
この事例2でも、昨日の事例1と同様に、受給権が無い、というところがポイントのようです。
しかし、事例2の場合は、原告が負けています。

そもそも原告は、46歳の時点で被保険者期間が8年10ヶ月しかありません。
この2箇月分の未納に係る損害自体(おそらく過小な損害)が発生したといえるのか否か、受給権が無い現時点では、判断できないとされています。
つまり、保険料を「全部納付しなかった」か「一部納付しなかったか」という事象が結果に与える影響はあまり無いようですね。なるほど。


では、今日はこの辺で。
次回は、事業主が資格取得の「届出を怠った」パターンの事例(事例3)を見ていきたいと思います



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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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