井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年7月20日 金曜日

改正育介法を就業規則に反映させる(その3:短時間勤務制度)

改正育介法の全面適用を受けて、従業員100人以下の事業主さん向けに、新たに義務化された制度ごとの改正点、就業規則に規定する際のポイントなどについて解説する、その続編です。

3回目の今日は、「短時間勤務制度の義務化」について。
そして、今回が最終回です。


【改正の背景】
所定外労働の免除の義務化と同様に、女性労働者の約7割が第1子出産を機に離職しているという現実が背景にあり、育児期の女性労働者から制度化を求める声が多かったことなどを反映して、「所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)」が義務化されました。


【制度の概要】
1.改正により「事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者について、その労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならない。」とされました。

2.短時間勤務制度は、1日の労働時間を「原則6時間(5時間45分から6時間まで)」とする措置を含むものとする必要があります。5時間45分というのは、所定労働時間を7時間45分としている事業所の場合ですね。
つまり、6時間に短縮する措置と「合わせて」講じれば問題ないのですが、7時間に短縮する措置「だけでは」改正育介法の短時間勤務制度としては認められないということです。

3.原則、3歳に満たない子を養育する、1日の所定労働時間が6時間以下でない労働者(男女とも)が、対象とされます。
ただし、①日々雇用者と、労使協定がある場合の②勤続1年未満の労働者、③週の所定労働日数が2日以下の労働者、④業務の性質又は業務の実施体制に照らして短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者は、対象外です。また、上記②〜④は労使協定が無いと認められない点に注意が必要です。

4.あらかじめ制度化して就業規則等に記載することが必要とされる点は、介護休暇と同様です。


【規定と運用のポイント】
1.改正により「制度化することが義務」とされたので、例えば、「申し出ることにより、就業規則第○条の所定労働時間を午前○時から午後○時までの6時間に変更することができる。」という定め方(従業員が選べるような定め方)にする必要があります。

2.上記④は、短時間勤務のみに登場する例外規程です。
ここでいう「困難と認められる業務」とは、例えば、従業員数が極めて少なくギリギリで回しているとか、交代制のためその人がいないと回らないとか、客観的に見て業務運営が困難と認められる場合が想定されています。
また、上記④だけは、労使協定で対象外とする場合、指針に例示された育児休業に関する制度に準ずる措置、フレックスタイム制度、時差出勤制度などのうち、いずれかを代替措置として講じる(就業規則等に決める)必要があり、少々手続きが込み入ってきますので、できるだけ本来の趣旨に則り対象外としない運用を心掛けましょう。

3.短時間勤務制度の適用を受けるための事務手続については、育児介護休業法では定められていません。
このため、就業規則等によって事業所ごとに定めておく必要があります。既存の他の制度(育児休業、所定外労働の制限など)とバランスを取って定めましょう。

4.短時間勤務(6H)をした日は、通常どおり勤務(8H)した日とみなします。一方で、短時間勤務をした日の賃金は、ノーワークノーペイの原則により時間換算(通常勤務の基本給×6/8)して、実働分のみ支給することに問題ありません。諸手当は、短時間勤務の有無に関わらず全額支給するのが一般的ですね。


なお、短時間勤務制度についても所定外労働の免除と同様に、いわゆる「名ばかりの管理職」は、対象とされますが、職務の実態上、労基法第41条第2号の「管理監督者」に該当する人は、対象外です。
また、短時間勤務の適用期間と所定外労働の免除期間は、重複して請求(制度を併用)することができます。


一方、アンケートや統計結果を見ると、従業員100人以下の企業のうち、「育児介護休業規程」を整備していない(作っていない)企業は、まだまだ多いようです。
しかし、育児介護休業法が改正されてから相当期間が経っていますし、この度、適用の猶予期間も終わりましたので、就業規則の見直しを求められるこの機会に、ぜひ、改正により義務化された部分は最低限クリアした就業規則を整備するようにしましょう。

これまで就業規則を見直してなかった企業には、今月から新たに義務化された3つの制度(短時間勤務、所定外労働の免除、介護休暇)のほかにも、「パパ・ママ育休プラス」、「子の看護休暇の要件緩和」など、規則に盛り込んでおくべき改正内容がいくつかあります。
このため、自分で規則の見直しをやってみて、よく判らないときや悩んだときは、当事務所までご連絡ください。その企業に合った規定の仕方など、分かり易くアドバイスさせていただきます。



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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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