井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年7月17日 火曜日

改正育介法を就業規則に反映させる(その2:所定外労働の免除)

改正育介法の全面適用を受けて、従業員100人以下の事業主さん向けに、新たに義務化された制度ごとの改正点、就業規則に規定する際のポイントなどについて解説する、その続編です。

2回目の今日は、「所定外労働の免除の義務化」について。


【改正の背景】
日本では女性労働者の育児休業取得率は約9割に達する一方、約7割が第1子出産を機に離職しているという現実が背景にあり、育児休業から復帰後の働き方が課題とされてきたところですが、育児期の女性労働者からは、短時間勤務・所定外労働の免除を求める声が多いことなどから、「所定外労働の免除」と「短時間勤務制度」が一緒に義務化されました。


【制度の概要】
1.改正により「3歳に満たない子を養育する労働者が申し出た場合には、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはならない。」とされました。

2.労働者からの申出については、「1回につき、1か月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日の1か月前までに、事業主に申し出る必要がある。」、また、「申出は何回でもすることができる。」とされました。この「何回でも」は、大きな緩和ですね。

3.原則、3歳に満たない子を養育するすべての労働者(男女とも)が、対象とされます。
ただし、①日々雇用者と、労使協定がある場合の②勤続1年未満と③週の所定労働日数が2日以下の労働者は、対象外です。介護休暇と違って上記②が「入社から1年未満」である点と、上記②と③は労使協定が無いと認められない点に注意が必要です。

4.あらかじめ制度化して就業規則等に記載することが必要とされる点は、介護休暇と同様です。


【規定と運用のポイント】
1.改正により「制度化することが義務」とされたので、申し出があった場合は、「所定労働時間を超えて労働させることはない。」(つまり、残業させません。)という定め方にする必要があります。
ここは、あくまでも「所定労働時間」です。「法定労働時間」ではない点に注意しましょう。

2.育児は介護ほど緊急性が高くないことから、従業員からの申し出に対して「事業の正常な運営に支障がある場合を除き」と、限定を入れることが認められます。
従業員数の少ない事業所の場合、この限定は入れておいた方が良いのですが、事業の正常な運営に支障があるか否かについては、その事業所の中での担当業務の内容、代替要員の有無等を考慮して、客観的に判断される必要があります。

3.申し出の仕方が、上記のとおり法律で決められています。
申し出る方法は、一応、ファックス、電子メールなども可とされましたが、いずれにしても「書面化できるもので申し出る」という理解で良いと思います。
また、申し出る時期は、独自にもっと緩和(直前の申出でも認める等)することは可能ですが、最初は無理をせず、法定どおりの「開始予定日の1か月前までに」で構いません。

4.このほか事業主に対して、いろいろと努力義務が求められている部分はありますが、現状まだ努力義務とされている部分については、最初からあまり意識する必要はありません。とりあえずは、改正により義務化された部分をクリアすることに注意を払いましょう。


なお、所定外労働時間に関する話題なので、管理職が免除の対象となるか否かは、気になるところですね。

解釈の細かいところは省いて結論だけ言いますと、いわゆる「名ばかりの管理職」は、対象とされます。一方で、職務の実態上、労基法第41条第2号の「管理監督者」に該当する人は、対象外です。制度の導入に際し、免除対象者の範囲を決めるとき気を付けましょう。


それでは、次回が最終回。「短時間勤務制度」について解説します。



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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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