井溝社会保険労務士事務所ブログ

2012年7月12日 木曜日

改正育介法を就業規則に反映させる(その1:介護休暇)

従業員100人以下の企業にも、今月から改正育介法が全面適用されました。

これを受けて、従業員100人以下の事業主さん向けに、新たに義務化された制度ごとの改正点、就業規則に規定する際のポイントなど、回を分けて解説したいと思います。

まず初回の今日は、「介護休暇の制度化」について。


【改正の背景】
家族の介護や看護のために「会社を辞めたり、転職したり」する労働者が多い(平成14年からの5年間で約50万人)という現実が背景にあり、そういう労働者の仕事と介護の両立を支援する目的で「介護のための短期の休暇制度」が新たに設けられました。


【制度の概要】
1.改正により「要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を限度として、1日単位で休暇を取得することができる。」とされました。

2.この介護休暇は、労働基準法で定める年次有給休暇とは別に与えられるもの、また、あらかじめ制度化して就業規則等に記載されているべきもの、とされている点に注意が必要です。

3.原則、対象家族の介護をするすべての労働者(男女とも)が、対象とされます。
ただし、①日々雇用者と、労使協定がある場合の②勤続6か月未満と③週の所定労働日数が2日以下の労働者は、対象外です。
つまり、改正前は認められていた、配偶者が専業主婦、夫婦とも同じ会社に勤めている等の理由では、今後は対象外にできません。また、上記②と③は労使協定が無いと認められない点に注意が必要です。

4.細かい言葉の意味についてざっと説明しておきますと・・・「要介護状態」とは、精神上の障害を含む私傷病により2週間以上の常時介護を必要とする状態のことです。また、「対象家族」とは、事実婚を含む配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、及び配偶者の父母のことで、このうち祖父母、兄弟姉妹及び孫だけ、同居かつ扶養の条件付きなので注意が必要です。さらに「その他の世話」とは、対象家族の通院等の付き添い、介護サービスの提供を受ける手続きの代行などが想定されています。


【規定と運用のポイント】
1.改正により「制度化することが義務」とされたので、申し出があった場合は、業務の繁忙等を理由に介護休暇の取得を拒むことはできません。
このため、拒否できる条件を設けない、単に「取得することができる。」という定め方にする必要があります。

2.年5日、年10日という場合の「1年度」は、通常、毎年4月1日から翌年3月31日までを指しますが、これは事業所の実情や都合に合わせて独自に定めることができます。

3.介護を必要とする対象家族の状況は様々であることから、1日単位の取得にこだわらず「半日単位、時間単位でも取得できる。」とすることや、介護という用事の性格上、突発的で緊急を要することが多いことから、原則は事前の申出としつつも「緊急時は当日の申出を認める。あるいは、口頭での申出を認める。ただし、事後に申出書の提出を要す。」とすること等、弾力的に運用できる定め方が望ましいです。

4.介護休暇を取得した日は、年次有給休暇を取得した日と同じく、通常の勤務をした日として扱います。一方で、勤務の実態が無い日なので、賃金はノーワークノーペイの原則により、支払わなくても差し支えありません。


余談ながら、介護休暇の付与日数は、取得申出があった時点の対象家族の人数で判断されます。このため、対象家族が2人以上いる場合には、一人につき5日まで、と決められてしまう訳ではなく、別の一人の日数を合わせて、一人につき10日まで取得することが可能になります。

ただし、この場合、自分の日数を分けてあげた形になるので、別のもう一人には残日数がありません。どちらも対象家族なので、実態として起こり得ない気はしますが、こういう取得の仕方も技術的にはできるということですね。


それでは、次回は「所定外労働の免除」について解説します。



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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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投稿者 井溝社会保険労務士事務所

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